ケースの紹介

在宅医療の実際 / ケース

玉名市在住のS様は、約10年前から肝臓を患い、定期的な点滴が必要な状態になりました。かかりつけ医の元へ車で20分程かけて通院されていましたが、病状が不安定で脚力も落ちてきたため、一時入院することになりました。退院後、娘さんご夫婦の協力により、自宅での療養が始まりました。医師による訪問診療と訪問看護の利用、そして病状安定のために定期的な薬物治療が欠かせないため、薬剤師の訪問も受けています。

在宅療養の当初は入院中寝たきりだったせいか、ベッドに休まれている時間が長かったのですが、ご自身の歩きたいという意欲とそれを援助するご家族や看護師さんの援助で徐々に脚力や体力も回復してきました。体力に自信がついたのに伴い最近では週2回のデイサービスも可能になりました。

必要に応じて、医師、看護師、薬剤師、ケアマネジャーなど、多職種の担当者がご自宅に集まり、本人あるいはご家族から、状態の変化や生活のご希望などを伺い、今後の療養の方針などを話し合います。

ご本人は大好きなご自宅で家族や近所の方々にも見守られ、遠方の娘さんのところやお気に入りの場所へ外出するのを楽しみにしておられます。

旅立ちの後で…

S様が、平成27年6月13日に大好きなご自宅で、ご家族に見守られながらとても穏やかな最期を迎えられました。
長女の涼子さん夫婦からお話をお伺いすることができました。そのまま掲載させていただきます。

ベッドがなくなって広く感じる。今はお供えの花があるからいいけど、なくなったら広いでしょうね。
6年間のベッドの跡ですよ。
覚悟はしていたけどやっぱり寂しかですね。ばあちゃんが居たからみんな来てくれた。

義母を看ている時は大変な時もあって時間が過ぎるのが遅く感じられたが、今思うとあっという間でした。
今は夫婦二人となり、喧嘩することもなく、話すこともありません。

手術せずに最後まで家で看ようと決断しました…看護師の三女さんからのアドバイスがとても助かった。
デイケアはとても楽しみにして、少しばかりおしゃれをして行っていました。
「母の体調が良い時にはあちこちに行きました…」と、相良観音の煎餅を見ながら行かれた時の思い出話をされました。

動きが悪くなり、時間がかかるようになり、ほんと寄り添うことしかできなかった。
痛みが出た時のことを本人も私たちも一番心配していたのですが、強い痛みが生じることもなくよかったです。
最期は痛みも苦しみもなく、スーッと呼吸が止まりました。とても穏やかな最期でした。
義母に精一杯していただきました。何も言うことはありません。ありがとうございました。

先生(安成先生)だけではみることはできなかった。
薬剤師、看護師、ケアマネジャー、いろんな方に支えてもらってとても心強かったです。
何かあると、どんなに遅くてもすぐ来てもらって本当に心強かった。
また、わからない時は色々と教えてもらって助かりました。
本当に有難うございました。これからもよろしくお願いします。

最期の看取りをした曾孫たちは、曾ばあちゃんの顔を何度も撫でていました。
この子たちは、身近な人の死をこのような形で経験したこと、一生忘れないと思います。
私たちもこのように家で最期を迎えることができればいいのですが。多分無理でしょうね。

仏壇にケーキが供えてあった。
「曾孫がばあちゃんに食べてと粘土で作ったんですよ。」
あまりにも本物そっくりだったので、温かい気持ちに満たされました。

鐘ヶ江(ケアマネジャー)、星野(薬剤師)